
はじめに、
みなさん、こんにちは。水野律子です。
3月27日、エジプトリトリート10日めは、今回のハイライトの一つでもあるヌビア地方の聖地「アブ・シンベル神殿」へと向かいました。
昼の圧倒的な男性的エネルギー、優美な女性性の空間、そして夜の帳の中で訪れた奇跡のようなひととき――。
私の内側でバラバラだった点と点が一つの美しい円へと繋がった、深く濃密な1日の記録をお届けします。
1. 砂漠の荒野を越えて、ヌビアの地へ
前夜まで心地よい時間を過ごしたナイル川のクルーズ船「ナイル・キャピタル号」をチェックアウトし、私たちはバスへと乗り込みました。

目指すアブ・シンベルまでは、片道約3時間30分のロングドライブ。
窓の外には、ただただ地平線まで続く砂漠のような荒野が広がっています。

現在、エジプトでは国土開発が国家的な重要課題であり、軍人さんたちがこの過酷な砂漠の荒地を開墾する先頭に立っているのだそうです。
しかし、やはり都会の町から遠く離れた開墾場には、家族連れはなかなか行きたがらないという現実もあるとのこと。そんな等身大のエジプトの営みに思いを馳せているうちに、バスは目的地へと滑り込みました。
お昼過ぎにアブ・シンベルに到着。これからの滞在拠点となるナセル・クルーズ船「ムーベンピック・プリンス・アッバース号」にチェックインし、船内で美味しい昼食をいただいて、いよいよ待ちに待った遺跡へと出発です!

2. 時を超えた「再生」のドラマ
神殿の敷地に入ると、まずはその圧倒的なスケール感と、この遺跡が持つ数奇な歴史のドラマに胸が熱くなります。

アブ・シンベル神殿は、古代エジプト新王国時代の偉大な王・ラムセス2世が、領地の南端であったヌビア地方に造営した広大な「岩窟神殿」です。自らの絶対的な権力と神格化された力を、遠く離れたヌビアの人々に見せつけるために建てられたとされています。

1813年にスイスの東洋学者ブルクハルトによって、砂に埋もれていた上部が奇跡的に発見されるまで、神殿は何百年もの間、静かに眠り続けていました。
そして1960年代。アスワン・ハイダムの建設によってナイル川の水位が上昇し、この至宝が完全に水没するという最大の危機が訪れます。

それを救ったのが、ナセル大統領の時代に行われた、ユネスコ(UNESCO)を中心とする国際協力プロジェクトでした。なんと、岩山をそのまま約60メートル上の安全な場所へと移築・再建するという、人類史上最大規模の救済作戦が行われたのです。
案内図に描かれた「元の位置」は、いまや完全にナセル湖の水底。私たちが今立っている場所そのものが、人間の情熱と最先端技術によって蘇った「奇跡の空間」なのだと知ると、遺跡の重みがさらに増して感じられます。
3. 大神殿:圧倒的な男性的パワーと太陽の奇跡
まず向かったのは、太陽神ラー・ホル・アクティに捧げられた「大神殿」です。

入り口で私たちを迎えてくれるのは、高さ約20メートルにも及ぶ4体の巨大なラムセス2世の坐像。
この像は若き日から年老いた姿までのラムセス2世を表現しているそうですが、よく見ると左から2番目の像の頭部が足元に崩れ落ちています。実はこれ、神殿完成直後に起きた大地震で壊れてしまった姿。驚くべきことに、1960年代の移築プロジェクトの際にも、「古代の歴史の痕跡」として崩れたそのままの状態で完璧に再現・移動されたのです。
像の頭上には、ラー神を象徴する美しいハヤブサ(ラー・ホルアクティ)の姿が凛と佇んでいます。

今回、神殿の内部は立ち入り禁止区域や制限があるため、ガイドのムスタファさんが入り口の前で、壁画の素晴らしいレリーフについて詳しくレクチャーをしてくださいました。

一歩、第一列柱室へ足を踏み入れると、そこはライトアップされて黄金色に輝く聖なる空間。

腕を胸の前で交差させたオシリス神の姿をしたラムセス2世の立像が並び、壁面にはプタハ、アメン、ラー・ホルアクティといった神々へ捧げものをしている姿が深く刻まれています。
そして圧巻は、通称「世界最古のアニメーション」とも称される勝利のレリーフです。

馬車(戦車)の上に立ち、凛とした姿で弓を引き、カデシュの戦いで敵(シリアやトルコ・ヒッタイト)を次々と打ち倒していくラムセス2世の姿が、今にも動き出しそうな躍動感で描かれています。

その凄まじい勝利の熱量と、ラムセス2世という王が持っていた強大な統率力(指揮権)のエネルギーが、数千年の時を超えてビンビンと伝わってきます。
さらに、この神殿の最も神聖な最奥――「至聖所(しせいじょ)」。
ここにはプタハ、アメン、ラー・ホルアクティ、そして神格化されたラムセス2世の4体の坐像が並んでいます。

本来の古代のデザインでは、年に2回(王の誕生日と即位の日と言われる10月21日と2月21日)、朝一の太陽の光がこの長い洞窟の奥まで真っ直ぐに差し込み、冥界の神であるプタハ以外の3体の顔を黄金に照らし出すように計算されていました。
移築によって現代の暦では1日ズレ(10月22日と2月22日)になったものの、その「太陽の奇跡」のメカニズムまでもが狂いなく現代に再現されているという事実に、古代エジプトの天文学的な叡智への震えるような感動を覚えました。
4. 王妃の小神殿:優美なる女性性とトランスの叡智
神殿外周に並ぶハヤブサ(ホルス神)の石像群

大神殿の北側には、ラムセス2世が最も深く愛した第一王妃ネフェルトゥアーリ、そして愛と美と音楽の女神ハトホルに捧げられた「小神殿」があります。

アブ・シンベル小神殿(ネフェルタリ神殿)の解説パネル

入り口には、王の像4体と王妃の像2体が交互に並び、足元には王子や王女たちの小さな像が愛おしそうに配置されています。王妃の頭上にはハトホル女神の象徴である牛の角と太陽円盤が美しく輝き、男性的な大神殿とは対照的な、柔らかく包み込むようなエネルギーを放っています。

中に入ると、柱の頭部すべてに美しいハトホル女神の顔が彫られた「ハトホル柱」が立ち並ぶ、本当に優美な世界が広がっていました。

壁面に広がる、香を焚き、祈りを捧げ、目に見えない幾何学的なエネルギーを美しく循環させているレリーフたち。
それらをじっと見つめていると、古代の人々が日常の枠や固定観念を脱ぎ捨て、「トランス状態(聖なる変容状態)」へと入っていくための、ある素晴らしいアプローチが胸に響いてきました。
思考を止め、五感を極限まで開き、歓びとともに大いなる宇宙の英知や神聖なエネルギーと融け合うこと。ハトホル女神の優しい眼差しに包まれながら、その本質的な智慧がふっと心に流れ込んできたような気がしました。
5. クライマックス:夜の光のショーと、魂に響く最高のコラボレーション
昼の情熱的な遺跡巡りを終え、夕暮れの優しい光に包まれるナセル・クルーズ船へと一度戻りました。

穏やかな湖面を渡る風に吹かれながら、今日受け取った膨大なエネルギーを自分の中で静かに整理し、いよいよこの日の本当のクライマックス、夜のアブ・シンベルへと向かいます。

漆黒の闇と、満天の星空。

「音と光のショー(Sound and Light Show)」が始まると、静まり返った巨大な岩壁に、鮮やかな色彩をまとった古代の神々や王妃たちの姿が光の命を吹き込まれて浮かび上がりました。時空の境界線が完全に溶け去り、数千年前の神話の世界にそのまま抱かれているような、言葉にできない幻想的な美しさです。
6,結び 時空と砂漠を越えて。夜の聖地で見出した「世界のカード」とこれからの覚悟
そして、この素晴らしい1日の最後の最後、夜の美しき帳に包まれた聖地で、タロットリーデイングが行われました。
その時与えられたのは、タロットの「世界のカード(The World)」。

エジプトという、時空を超えた圧倒的な磁場に身を置いたからこそ得られた、確かな感覚。
それは、「これまで自分が別々に情熱を注ぎ、バラバラにやってきたすべての活動や知識が、エジプトにきたことでパズルのピースがカチリとはまるように、一本の美しい線でつながっていく」というメッセージでした。
そして真ん中の女性のように、「ワインを飲むこと」、そして「踊ること」がカギと。
その瞬間、私の脳裏に鮮やかに浮かび上がったのは、日中に見たハトホル女神の像

壁面に広がる、香を焚き、祈りを捧げ、目に見えない幾何学的なエネルギーを美しく循環させているレリーフたち。
それらをじっと見つめていると、古代の人々が日常の枠や固定観念を脱ぎ捨て、「トランス状態(聖なる変容状態)」へと入っていくための、ある素晴らしいアプローチが胸に響いてきました。

思考を止め、五感を極限まで開き、歓びとともに大いなる宇宙の英知や神聖なエネルギーと融け合うこと。
ハトホル女神の優しい眼差しに包まれながら、その本質的な智慧がふっと心に流れ込んできたような気がしました。これまで歩んできた全ての経験、学んできた全ての智慧が統合され、一つの完璧なサイクルとして完成し、祝福されたのだと感じました。
そしてこの「世界のカード」の統合を経て、私自身のこれからの役割、そして私が大切に運営している「エンライト」の未来についてのビジョンが、遮るもののない光のように明確に定まったのです。
それは、「これからは、私自身がより明確に、確信と責任を持って全体をリードし、しっかりと『自己指揮』をとれるようになること」。
カデシュの戦いで自ら戦車を駆り、指揮をとったラムセス2世のような揺るぎない軸。
そしてネフェルトゥアーリのように五感を開き、愛のエネルギーで調和をもたらす優美さ。
その陰陽の統合のような大いなる覚悟が、アブ・シンベルの星空の下で、静かに、しかし二度と揺らぐことのない力強さで私の魂の奥底にセットされました。
すべてが繋がり、新しい自分として未来の指揮をとる。
その新しい幕開けを、古代の神々と星々が祝福してくれているかのような、一生忘れることのできない最高の3月27日の夜となりました。
このリトリートで受け取った統合のエネルギーを、これからのサロン活動やメッセージを通じて、みなさんにも心を込めて循環させていきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
