
先日は、死者の書「ウナス王のピラミッドテキスト」がすばらしかったです。
3月22日、エジプト旅も5日目。いよいよ舞台はカイロから、かつての王都テーベこと「ルクソール」へと移ります。
今日は、黄金の少年王ツタンカーメンと、芸術の極致セティ1世の墓、そして歴史が幾重にも積み重なったルクソール神殿を巡った、濃密な一日の記録をお届けします。
1,空路ルクソールへ
朝、カイロ空港から国内線でルクソールへ飛びました。
ここで一つ、エジプト旅行のアドバイスを。国内線は「預け荷物が1個」という厳しいルールがあります。
みんなで大切に買った香油の瓶など、重かったり壊れやすかったりするものは、潔くカイロのホテルのフロントに預けて出発。身軽になって、いざ南の聖地へ!

2, 王家の谷:ムスタファさんの魔法の解説
ルクソール西岸、「王家の谷」に到着すると、そこは大変な混雑!
入り口からは電気自動車に乗って、遺跡の奥へと進みます。

王家の谷に入口にお店が並んでいます。
通り過ぎる観光客にいろんなお土産品を売りつけます。

今回ガイドをしてくれたのは、ムスタファさん。
彼は、近くのお店から遺跡の内部や壁画の細部を詳しく載せた「写真集」を購入して説明してくれます。
暗いお墓の中では、この視覚的な資料が本当にありがたい……!あまりの分かりやすさに、私も10ドルで1冊買いました。

ツタンカーメン王の墓(KV 62)
3,300年前の時間がそのまま閉じ込められたような空間。
今回の大エジプト博物館や2018年のエジプト考古学博物館でみたツタンカーメンの墓。
歴史と現状の解説板:
19歳で亡くなった王のために既存の墓を急遽改修した経緯。
埋葬室の壁画(死後の世界への旅)や、発見時の様子。
現在はミイラ、石棺、外側の金箔の棺のみが墓内に残されている。


- 発見時の歴史的写真のパネル:
- ハワード・カーターによる発見当時の前室や副葬品(チャリオット、家具、守護像など)の様子。
- 埋葬室内の4つの金箔の厨子や、3重の棺、黄金のマスクに関する記録。

ここは19歳で急逝した王のために急遽用意された小さな墓ですが、その分、濃密なエネルギーが満ちていました。
壁画には、王が死後の世界へ旅立つ様子が鮮やかに描かれています。
魂に呼吸を吹き込む「口開けの儀式」
次代の王アイが、ミイラ姿のツタンカーメンに儀式を行う場面

まず目を引くのは、壁の右側に描かれた重要な儀式の場面です。
豹の皮をまとった次代の王アイが、亡きツタンカーメンの口に触れています。
これが「口開けの儀式」。
亡くなった王が死後の世界でも再び呼吸をし、話し、食事をすることができるように、五感を取り戻すための再生のステップです。}
タロットの「復活」のカードにも通じるような、力強い生命の更新を感じます。
神々との親密な対面

壁の中央では、王が神々の世界に温かく迎え入れられていました。
天空の女神ヌトが歓迎の意を表し、王は冥界の主オシリスと抱き合っています。
王が「人」としての生を終え、「神」としての永遠を得る瞬間。
3,300年前の絵師が込めた色彩は、今も驚くほど鮮やかで、見る者の魂を揺さぶります。
12時間の夜を越えて
そして、左側の壁に並ぶ愛らしい(けれど神秘的な)ヒヒたちの姿。

これは「アムドゥアト(冥界の書)」の第1場面。復活の朝を迎えるために、太陽神とともに通り抜けなければならない「夜の12時間」を象徴しています。
一番上には、再生のシンボルであるスカラベを乗せた「太陽の船」が描かれています。
今も墓の中で眠る王のミイラと対面し、言葉にできない感動に包まれました。
② セティ1世の墓(KV 17)
続いて、王家の谷で最も美しいと言われるセティ1世の墓へ。
こちらは打って変わって、深い通路と緻密な浮き彫り(レリーフ)が特徴。
王家の谷で最も長く、美しい墓です。
ここはまさに「地下の宮殿」です。彩色の浮き彫りの質の高さ、天井に広がる天文学の場面、そして「口開けの儀式」のレリーフ……。右脳を刺激されるような圧倒的な美しさは、当時の芸術家たちの誇りそのものでした。
冥界を下る「案内板」と「入り口」

断面図を見ると、地下深くまで迷宮のように通路が続いているのが分かります。
写真はまさにその入り口から奥を望むカット。
天井の「青」は夜空を、左右の壁画は冥界の物語を映し出しています。
太陽の船:夜の旅
エジプト人の死生観の核心、「太陽の船(バーク)」の旅です。
船の中に、蛇(メヘン)に守られた羊頭の太陽神ラーが鎮座しています。


多くの神々や精霊たちがロープを引き、太陽神の船を闇の淵から光へと運び出そうとしています。
タロットのリトリートの仲間たちで協力し合う姿にも重なりました。

女神との親密なレリーフ
セティ1世がハトホル女神に温かく迎えられる場面です。
下書きのような繊細なラインが、当時の職人の技量の高さを伝えます。

色彩が残った状態。女神が王の首飾りに触れ、聖なるエネルギーを注いでいるような、非常に慈愛に満ちたカットです。

天空の図:古代の天文台 埋葬室の天井。
濃い青地に黄金の星々と、天の星座(カバやワニの姿をした星座など)が描かれています。
これは単なる装飾ではなく、王が宇宙の運行の一部になるための「地図」でもあります。

スカラベのレリーフは、「私たちは常に新しく生まれ変わることができる」というメッセージを伝えてくれます。

3,黄金の王と発掘を支えた一族の店で、デンデラ神殿のカレンダーを買う
ルクソール西岸(王家の谷やハトシェプスト女王葬祭殿の近く)の、アラバスター(雪花石膏)のお店「Sheikh Abdul Rasul Alabaster Factory」に立ち寄りました。
この店は、「アブドゥル・ラスール(Abdul Rasul)家」が経営するアラバスタ工房・ショップです。
写真によるとフセイン・アブドゥル・ラスールは1922年のツタンカーメン王の墓の発掘の第一歩をにない、有名なハワードカーター考古学博士の遺跡発掘に付き添ったといわれます。
ここのオーナーさんは、その方の、お孫さんだそう。

「伝統の技」
スタッフの方が、アラバスタの原石の製造方法を解説している場面です。
実際原石を触ってみると結構ゴツゴツしていました。
仕上がった作品は、結構滑らかで輝いてたので、びっくりしました。
職人さんの手先を見ていると、古代からの歴史を感じます。

黄金の光が溢れる店内
アラバスタ特有の、内側から発光しているような柔らかい光が店内を満たしています。セクメト像や棺のレプリカなど、エジプトの神々のエネルギーが濃縮された空間でした。

この店で、デンデラ神殿のカレンダー(暦)を買いました。この話は、後日詳しくアップします。
4,ハトシェプスト女王葬祭殿:豊かさを運ぶ「プント遠征」
続いて向かったのは、断崖に抱かれるように建つ「ハトシェプスト女王葬祭殿」。
葬祭殿全景 断崖を背に建つ、三段テラス構造の壮大な神殿です。
背後の岩山と一体化したような近代的なデザインが特徴です。

ハトホル柱: 愛と音楽の女神ハトホルが見守る聖域
ハトホル女神の顔(牛の耳を持つ女性)が彫られた柱。彼女は音楽と愛、そしてこの場所の守護神です。

ハトシェプスト女王は、新王国時代トトメス2世の妻。夫の死後、まだ幼かったトトメス3世の摂政となり、後に自らファラオとなり、エジプト初の女王になりました。
写真の像は、ハトシェプス女王、ファラオとして権力を示したかったのか、男の恰好をした像を作りました。

プント遠征のレリーフ: 平和的な交易、豊かな香料の木を運ぶ人々
女王がアフリカの「プントの国」(現在のソマリア)へ送った遠征隊の様子。
兵士たちが香料の木を運ぶなど、当時の平和的で豊かな交易が記録されています。
壁画には、プントから持ち帰られた香料の木や宝物が丁寧に描かれています。
これは単なる略奪ではなく、互いの富を分かち合う「平和的な交易」の記録。

ハトシェプストは死後トトメス3世から「名前の抹殺」(エジプト人にとって最大の恐怖)という報復を受けました。
彼女の肖像も削り取られ、像も破壊されました。

「プント遠征」の物語を見たとき、先ほどのアラバスタのお店の光景が頭に浮かびました。
お爺様の代から続くお店が、現代の私たちに石の宝物を手渡してくれる。
それは、ハトシェプスト女王が数千年前にプントから豊かな品々を持ち帰り、人々に届けた「豊かさの循環」と地続きのもの。
エジプトの美は、権力だけでなく、こうした「職人の手」や「交易の志」によって守られてきたのだと確信しました
歴史はこうして「人」の手で受け継がれていくのですね。
5,ナイルの風に吹かれながら、本場のモロヘイヤと新鮮な川魚に舌鼓

ルクソール西岸の遺跡エリア近くにある「Africa Restaurant(アフリカ・レストラン)」。
ナイル川を望む開放的なテラス席があり、地元のエジプト料理を楽しめることで旅行者に人気のスポットです。テラス席はカラフルな装飾や壁画に囲まれ、エジプトらしいエキゾチックな空間です。

テラスからは、ナイル川と対岸(東岸)の景色がみえます。
遠くにはルクソール神殿の巨大な列柱や、ナイルを往来するクルーズ船が見えます。

フレッシュなレモンジュース

ナイル川でとれるナイルパーチ(白身魚)のフリット

素焼きのツボに入っているモロヘイヤ・スープとアエーシ(パン)伝統的なエジプト料理

4, 夕暮れのルクソール神殿:永遠の入り口
日の光が和らぐ頃、東岸の「ルクソール神殿(南のオペット)」へ向かいました。
入り口に立つラムセス2世の巨大なパイロン(塔門)は、ヒエログリフの「アケト(地平線)」を表現しているそうです。この門をくぐり、物理的な時間から神々の永遠へと足を踏み入れる感覚……。

神殿内には、アレクサンドロス大王が建てた至聖所や、ローマ時代の壁、さらには中世の教会跡までが混在しています。時代が層のように重なり合いながら、今も人々の信仰の場であり続けている。
その寛容さと美しさに、ただただ圧倒されました。

沈黙の巨人:メムノンの巨像
かつてのアメンホテプ3世葬祭殿の入り口を守っていた巨像。
今は平原にポツンと立っています。

5,【今夜の宿】ナイルを望むソネスタホテル
今夜の宿泊は、ナイル川沿いに建つ「ソネスタホテル」。

窓から見えるナイルの流れは、古代から変わることなく静かです。今日出会った黄金の王の記憶、ムスタファさんの笑顔、そして職人の手の感触を反芻しながら、ルクソールの夜を過ごします。

6,【大切なお知らせ】エジプトの光を分かち合うティーパーティー
今回の旅で受け取った「再生」と「豊かさの循環」のエネルギーを、皆さまに直接お分けする特別な時間をご用意しました。
春分のピラミッドパワーお茶会 〜タロットの源流を求めて〜
ブログでご紹介した「口開けの儀式」や、プント遠征の壁画。 それらの物語が地続きとなっている、大迫力2メートルの『死者の書』パピルスをサロンにて初公開いたします!
エジプトの静寂が語りかけるメッセージを、美味しいお茶と共に体感しませんか?
- 日時: 2026年5月5日(火・祝) 13:00〜15:00
- 場所: 阿佐ヶ谷 エンライトビルB棟2階(エンライト・サロン)
- 内容:
- エジプト遺跡の秘密と気づき(生の写真と共に)
(黒田の再誕セッション秘話)とともに、再誕セッションの香油体験 - 門外不出!2mの『死者の書』パピルス特別公開
- ピラミッドパワーで、貴方の魂からのメッセージをタロットでお伝えします。
- エジプト遺跡の秘密と気づき(生の写真と共に)
- 料金: 3,300円(税込)
- 定員: 6名様(プレミアムな少人数制です)

エジプトの「深さ」を肌で感じた第5日目。
明日はどんな発見が待っているのでしょうか。
この記事が、いつかエジプトを訪れる方の参考になれば幸いです。
次はエジプトリトリート6日の旅日記へと続きます!
